2025.08.15 更新
第207号 「我は海の子」続編~「木の上の軍隊」
前号脱稿時続編のつもりはなかった。それがこうなったのは…。
それは、映画のラストシーンで広がる海。主人公一家が育ち営みの海、敵艦の現れない、戦さのない静かな海。平和な未来を告げる海…って感傷に浸ったからだ。
映画の大半のジャングルの中での描写のままラストでは心は晴れない。それが沖縄の広大な海を最後に見て、鑑賞者の気持ちもホッとして、映画館を出れる。
映画「木の上の軍隊」。
まずこのタイトルネーミングに感心する。これが「伊江島で終戦知らずに戦い続けた日本兵士」では全く面白くない。ネーミングの妙味がこの映画への興味を引き起こす。
沖縄戦・伊江島での事実に基づく井上ひさしの原作。島に残され終戦を知らない二人の兵士の、援軍が来ると信じ身を隠す2年間の樹上での生き様を描いている。
水、食料確保と言う生き続けるための工夫、日付を忘れず日記をつけ平常心保つ工夫、昼夜いつ勃発するかわからない戦への恐怖、それに耐えようとするはかない日本軍人の心構えなどが描かれている。それは飢餓直前で、米兵つまり敵の残飯を食えるかどうかなど、具体的シーンで表現されている。
我々は、終戦後も南方で軍人として生き続けた横井庄一、小野田寛郎氏の事を史実として知っている。その生きぬく執念の一端も、この映画で垣間見た思いがする。
もう一つの史実は、舞台となった伊江島に住み、戦後反戦非暴力の農民運動を組織した阿波根昌鴻氏の「ヌティドゥタカラの家」。(小欄一部「千代野ノート」47号、48号参照)
さて戦争の実相は…。
遺族に渡された白木の遺骨箱の中は石ころだった話は数多く聞く。当然だ。激しい戦闘の現場で戦死者の氏名・数など分かるはずがない。
80年前の大戦での日本軍戦死者の230万人の6割の140万人が餓死なのだ。これは本土近くの中国戦線なども入れての平均値で、南方では7~9割が餓死との調査学説が大半だ。勇ましく敵と戦いまみえての戦死でない。勇ましく敵艦に体当たりした特攻隊戦死者の数でもない。戦う以前の人間と言う生き物が自滅していく様だ。人間は水だけで3週間は生きられると言うが、食べ物無く、真っ当な水も潰える灼熱のジャングルの中を、重い装備品を背負いさまよい、病魔に侵され、援軍、支援物資もなく骨と皮だけになってやがて餓死していく。
丁度この映画館では、1959年版「野火」も同時上映されていた。大岡昇平原作、市川崑監督作品。(リメイクの2014年版塚本真晋也監督作品でない)「人間の獣化」つまり戦死者の人肉を喰らう、餓死寸前の日本兵士を描く衝撃作と当時言われた。
気持ち悪くて観る気はしない。落ち込んで映画館を出る羽目にはなりたくない。
しかし「木の上の軍隊」より「野火」の方が史実に近いのだろう。
戦争の記録に接するだけでも顔を背けるほどに怖いのに、現場にはとても居られない。
決して潔くとか、勇ましくとかでない、人間の心を無くした狂気空間が戦争なのだろう。
それは、映画のラストシーンで広がる海。主人公一家が育ち営みの海、敵艦の現れない、戦さのない静かな海。平和な未来を告げる海…って感傷に浸ったからだ。
映画の大半のジャングルの中での描写のままラストでは心は晴れない。それが沖縄の広大な海を最後に見て、鑑賞者の気持ちもホッとして、映画館を出れる。
映画「木の上の軍隊」。
まずこのタイトルネーミングに感心する。これが「伊江島で終戦知らずに戦い続けた日本兵士」では全く面白くない。ネーミングの妙味がこの映画への興味を引き起こす。
沖縄戦・伊江島での事実に基づく井上ひさしの原作。島に残され終戦を知らない二人の兵士の、援軍が来ると信じ身を隠す2年間の樹上での生き様を描いている。
水、食料確保と言う生き続けるための工夫、日付を忘れず日記をつけ平常心保つ工夫、昼夜いつ勃発するかわからない戦への恐怖、それに耐えようとするはかない日本軍人の心構えなどが描かれている。それは飢餓直前で、米兵つまり敵の残飯を食えるかどうかなど、具体的シーンで表現されている。
我々は、終戦後も南方で軍人として生き続けた横井庄一、小野田寛郎氏の事を史実として知っている。その生きぬく執念の一端も、この映画で垣間見た思いがする。
もう一つの史実は、舞台となった伊江島に住み、戦後反戦非暴力の農民運動を組織した阿波根昌鴻氏の「ヌティドゥタカラの家」。(小欄一部「千代野ノート」47号、48号参照)
さて戦争の実相は…。
遺族に渡された白木の遺骨箱の中は石ころだった話は数多く聞く。当然だ。激しい戦闘の現場で戦死者の氏名・数など分かるはずがない。
80年前の大戦での日本軍戦死者の230万人の6割の140万人が餓死なのだ。これは本土近くの中国戦線なども入れての平均値で、南方では7~9割が餓死との調査学説が大半だ。勇ましく敵と戦いまみえての戦死でない。勇ましく敵艦に体当たりした特攻隊戦死者の数でもない。戦う以前の人間と言う生き物が自滅していく様だ。人間は水だけで3週間は生きられると言うが、食べ物無く、真っ当な水も潰える灼熱のジャングルの中を、重い装備品を背負いさまよい、病魔に侵され、援軍、支援物資もなく骨と皮だけになってやがて餓死していく。
丁度この映画館では、1959年版「野火」も同時上映されていた。大岡昇平原作、市川崑監督作品。(リメイクの2014年版塚本真晋也監督作品でない)「人間の獣化」つまり戦死者の人肉を喰らう、餓死寸前の日本兵士を描く衝撃作と当時言われた。
気持ち悪くて観る気はしない。落ち込んで映画館を出る羽目にはなりたくない。
しかし「木の上の軍隊」より「野火」の方が史実に近いのだろう。
戦争の記録に接するだけでも顔を背けるほどに怖いのに、現場にはとても居られない。
決して潔くとか、勇ましくとかでない、人間の心を無くした狂気空間が戦争なのだろう。
2025.08.15 更新
構想速報! アオザイ 作りませんか?
ベトナムの民族衣装・アオザイ。
一般的な無地
7,000円前後
刺繍カラフルな高級感
15,000円位から
(採寸なしの)フリ―サイズ
3,000円位から
和風ワンピースへのアレンジ可能
カタログ見本で選定し、採寸しベトナム現地で制作。
2~3週間で完成、郵送着で支払い。
☆詳細追ってご紹介します。
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2~3週間で完成、郵送着で支払い。
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