2025.10.01 更新
第210回 現代病
 この夏、「腑抜けNO会」の3人の女性会員から「膝が痛くなって外出しにくい」。
医者との検診で、どうもこの夏クーラーで特定の部位(膝)の冷やし過ぎ。湿布クスリと投薬、そして無理のない適度な運動をと言われ、「薬は処方箋が書いてあるからわかるが、『無理のない適度な運動』がわからない」と。ごもっともである。この責任の所在が曖昧な言い方がクリニック経営の妙味、患者を長く通院さすコツだと、その道の人に聞いたことがある。この酷暑の日々、「皆様のNHK」始め、TVメディアは初期、「今日は38~40度になりそうです」とアナウンサーがコメントし、街角の声を拾い「エエッ、そんなに」と気温の高さへの驚愕が、怖さより何か(スポーツ記録への)興味関心の様を映し出す。怖いのは乳母車引く若い母親、乳母車の位置は地表に近く、大人の体感気温より高いのは自明。でも若い母親は何故かインタビューに笑って応えている。TVは「こまめな水分補給と適切なクーラー使用」をこの3ヶ月毎日毎日ずっとそれだけをオウム返しに続けた、決してそれ以上深堀りせず。辛口に言えば報道する側の怠慢。水分補給とクーラー使用のメリット、デメリット、ましてやクーラー買えない貧困層など描かない。上述のクリニック同様、「皆様のNHK」も、結局は「自助努力ですよ~」と囁いているよう。

 さて、先日面白い映像を観た。30年前の1月16日の神戸の電車内光景だ。つまり阪神淡路大震災前日。車内は新聞や週刊誌読む人、雑談する人。窓外を眺め人…。
この人々が翌朝自宅の固定電話が繋がらず、我先に10円玉持って向かった先が、緑の公衆電話。この震災後携帯電話の普及、そしてスマホへと発展していった。そして今、神戸だけでなくどこの大都市通勤電車内でスマホ見ていない人を探すのに苦労する。今、緑の公衆電話がどこにある?テレフォンカードがどこで売っている?わずか30年の電車光景と我々の生活スタイルの劇的変化に驚く。
ここからでも、新聞・週刊誌・出版産業の末路が目に見えてくる。
 スマホの功罪は百花繚乱。今更私なんぞが語ることはないが、技術の進歩は無限大でも、人間の五体は大谷翔平じゃあるまいし、それに応じて進化するか?否だ。身近な眼科医,メガネ屋に聞いても、末恐ろしい。
スマホで興味関心事への満足は得られても、それは眼、首の筋肉、背骨に疲労が確実に溜まってくる。30年前の大人もしかりだが、30歳未満の若者は生まれ時からスマホが目の前に当然のようにあり、功罪も何も自宅で学校で職場でスマホから逃げられない運命にある。
先天性○○病とよく言うが、生まれた時から、眼、首、背骨の欠陥が潜在化している事だ。少なくとも大人になるまでは、目の前の両親、大人は30年前の阪神淡路大震災の負の遺産から発したこの一つの現代病を真正面から向き合う必要があると思う。

 酷暑で外に出られず足腰膝がやられ自力で歩けなくなり、スマホで眼がやられ、首背骨が曲がりは、決して今の大人でなく、子供世代の自画像だ。あと30年すれば答えは出てくる。
 まあ~その時、私はあの世から見てるだけだが…。
「ムービー軌跡」
千代野基金

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