2025.11.01 更新
第212回 ロイヤル・アルバートホール
先月大相撲ロンドン公演が行われたこのホール、英国一の音楽ホールで音楽家の憧れの舞台だそうだが、最初名前だけ聞いた時はわからなかった。
しかし、建物外観をどこかで見たような…?
思い出した!1990年代の英国の映画「ブラス」のタイトルバックの建物だ。
炭鉱労働者の闘いをヒントにした映画で、過酷な労働環境を是正すべく仲間に呼びかけるも会社側の切り崩し、仲間の裏切り、貧困家族の不和・崩壊などを描きつつ、この炭鉱労働者の唯一の絆が吹奏楽団。ちなみに何故トランペットなど吹奏楽器なのかと言うと、炭鉱現場で彼らの肉体、つまり肺機能がやられるのを防ぐために、その機能回復のためにも吹奏楽だと映画を観た当時知った。
様々な困難の中、彼らはこのロイヤル・アルバートホールで英国一を競うコンクールに出場。最後の決勝戦の曲目は「ウイリアムテル序曲」。そう~、私の世代が小学生の頃の人気の米西部劇TV「ローンレンジャー」のタイトル曲だ。黒い仮面をつけ白馬で走る映像と共に覚えている。高校生位まで、あの曲は番組の主題曲だとも思っていた。
さて彼らは見事優勝し、そのトロフィ授与でこの楽団は、政府の労働者分断を批判し、その事で団員家庭をも崩壊させた厳しい事実を突きつけ、受取りを拒否した。その直後、彼らはロンドンの街に出てパレード演奏したのが英国第二国歌と言われる「威風堂々」。感動的なラストシーンだった。
実は同じように、日本の炭鉱労働者を励まし続けた音楽家が日本にもいた。
1950~60年代、国のエネルギー大転換で未曾有の労働争議になった、私の故郷に近い福岡の三井三池炭鉱闘争で、自らも炭鉱労働者だった荒木栄だ。日本の労働歌の草分けで、今でもメーデーでは「がんばろう」など荒木の歌は唱和されている。
エピソード的に続けると、それまで日本の労働組合の大会閉会時は「万歳三唱」で終わっていたのが、この歌がきっかけで「団結がんばろう三唱」になり、それが今でも続くだけでなく、労働歌などとは真逆の世界の自民党などの保守政党でも、大会閉会時はこれで終わっていると言うから奇妙な話だ。何でも組織の高揚時は「万歳三唱」で良いが、苦難時から反転攻勢に転じる場合にこの「団結がんばろう三唱」となるらしい、と聞くと少しガッテン。
そんなこんなを回想しつつの今の瞬間。「馬車馬のように働く」と宣言し、我が国初の女性首相になった方は、早くも労働時間規制の緩和を打ち出した。命守る働き方なんて甘っちょろいのでしょう。「強い経済」、「日本列島を強く豊かに」を連呼。何せ尊敬するのは弱肉強食・新自由主義を推し進め、「英国の鉄の女」と言われたサッチャー首相だもの。
見捨てられたように遅々として進まぬ奥能登の復旧や、高いコメ食べられぬ「弱い国民」は、自助努力しかないのだろうか?
しかし、建物外観をどこかで見たような…?
思い出した!1990年代の英国の映画「ブラス」のタイトルバックの建物だ。
炭鉱労働者の闘いをヒントにした映画で、過酷な労働環境を是正すべく仲間に呼びかけるも会社側の切り崩し、仲間の裏切り、貧困家族の不和・崩壊などを描きつつ、この炭鉱労働者の唯一の絆が吹奏楽団。ちなみに何故トランペットなど吹奏楽器なのかと言うと、炭鉱現場で彼らの肉体、つまり肺機能がやられるのを防ぐために、その機能回復のためにも吹奏楽だと映画を観た当時知った。
様々な困難の中、彼らはこのロイヤル・アルバートホールで英国一を競うコンクールに出場。最後の決勝戦の曲目は「ウイリアムテル序曲」。そう~、私の世代が小学生の頃の人気の米西部劇TV「ローンレンジャー」のタイトル曲だ。黒い仮面をつけ白馬で走る映像と共に覚えている。高校生位まで、あの曲は番組の主題曲だとも思っていた。
さて彼らは見事優勝し、そのトロフィ授与でこの楽団は、政府の労働者分断を批判し、その事で団員家庭をも崩壊させた厳しい事実を突きつけ、受取りを拒否した。その直後、彼らはロンドンの街に出てパレード演奏したのが英国第二国歌と言われる「威風堂々」。感動的なラストシーンだった。
実は同じように、日本の炭鉱労働者を励まし続けた音楽家が日本にもいた。
1950~60年代、国のエネルギー大転換で未曾有の労働争議になった、私の故郷に近い福岡の三井三池炭鉱闘争で、自らも炭鉱労働者だった荒木栄だ。日本の労働歌の草分けで、今でもメーデーでは「がんばろう」など荒木の歌は唱和されている。
エピソード的に続けると、それまで日本の労働組合の大会閉会時は「万歳三唱」で終わっていたのが、この歌がきっかけで「団結がんばろう三唱」になり、それが今でも続くだけでなく、労働歌などとは真逆の世界の自民党などの保守政党でも、大会閉会時はこれで終わっていると言うから奇妙な話だ。何でも組織の高揚時は「万歳三唱」で良いが、苦難時から反転攻勢に転じる場合にこの「団結がんばろう三唱」となるらしい、と聞くと少しガッテン。
そんなこんなを回想しつつの今の瞬間。「馬車馬のように働く」と宣言し、我が国初の女性首相になった方は、早くも労働時間規制の緩和を打ち出した。命守る働き方なんて甘っちょろいのでしょう。「強い経済」、「日本列島を強く豊かに」を連呼。何せ尊敬するのは弱肉強食・新自由主義を推し進め、「英国の鉄の女」と言われたサッチャー首相だもの。
見捨てられたように遅々として進まぬ奥能登の復旧や、高いコメ食べられぬ「弱い国民」は、自助努力しかないのだろうか?




