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特別企画連載
自然・人間ふれあいの旅  日本一周自転車ツアー完走記 (8)

武田万徳(久御山町在住) 

 北海道は雄大な自然がいっぱい 果てしなく続くオロロン街道
 札幌から雨竜を経て留萌に出る。ここから北の果て稚内・宗谷をめざす。稚内まで日本海沿いの主に国道232号線約200キロを北に向けてまっすぐ走る。左手には青い日本海、右手には枯れた見渡す限りの黄金色の草原や山、前は地平線に向けてどこまでも続く広い道。オロロン街道は北海道の大自然そのもので、どこまでもどこまでも単調な景色が果てしなく続く。店や家もほとんどない。「ああ〜北海道へ来たんだ」と実感し大声をだしても聞く人もいない。
 大沼公園やニセコもよかったが、本州にない北海道の一番の魅力はやはり雄大で広大な自然だろう。ここは一番北海道らしい所だ。
 時々車が通るが、どの車も猛スピードでとばしている。さんざん強い向かい風に悩まされてきたが、ここだけは強い風も吹かず快調にとばす。しかしだんだん単調な景色に飽きてきて、ラジオを聴いたり大声で歌ったりする。一日では稚内まで行けず、ライダーハウスに泊まりたかったが、暗くなってしまいめざすライダーハウスがわからなかったので、初山別の真っ暗なバスハウスで泊まる。

   北の果て宗谷で会った女の子
 次の日もオロロン街道を走り、10月8日稚内着。民宿「北乃宿」に泊まり、翌日日本最北端「宗谷岬」に向かう。ここから強い
向かい風、北へ向かってひたすらペダルを漕ぐ。ここで前をヨタヨタと走っているマウンテンバイクの女性のチャリダ−と会う。東京青梅から来ている23歳の彼女は、鍋ややかん等、荷物を山盛り積んでいて、オールキャンプだそうだ。6月に北海道に来て
キャンプ場から農家のアルバイトに通い、シーズンオフになった今、北海道を自転車で回っているらしい。今ごろのキャンプ場には誰もいないが、そこで一人テントに寝るその勇気には感心する。一緒に走りながら話したり、休憩で草原に寝そべったりするが、彼女とはあまりにスピードが違うので、しばらく走ったあと、お先に失礼する。
宗谷には10月9日12時30分に到着。記念撮影したあと、オホーツク海を左に見ながら知床に向かい南下していく。
 途中猿払村を通るが、ここらは広い牧場に牛がたくさん放牧されている。とてものどかな風景だが、2頭目の狂牛病がここから出たことをあとで知る。農水省の怠慢によって狂牛病が広がり、国民の食の安全が脅かされている。消費者は牛肉を食べなければすむが、生産者や関連業者は大変だと思う。そのことを聞いた時につくったうた。
 狂牛病 狂っているのは 農(脳)水省

   雨の知床 熊と遭遇
 さて、サロマ・網走を経て知床に向かう。サロマを出てからずっと雨だったが、ここらは人間の手の入らない大自然がいっぱいある所だ。知床のユースに向かう途中、暗くなってウトロから斜里町の山に入った所で熊にあったらしい。らしいというのは暗くて姿は見えなかったが、山の方でカサカサと大きな音がしたのだ。熊がでるというのは聞いていたので、大きな音でラジオをつけていた。熊は音などで人間とわかると襲わず逃げていくそうだ。ユースに着いてそのことを話すと「あそこは熊や鹿の中に人間が住んでいるのです。だから熊とあっても不思議ではない」とヘルパーさんに言われた。
 知床岩尾別ユースの夕食は豪快で、ボールにいくらがたくさん入っていて、あとはご飯があるだけ。丼にご飯を盛り、いくらをたらふくかけて食べる。3杯おかわりして腹一杯食べてもう大満足。ユースの安い料金で、おいしいいくらをこれだけ食べていいんだろうか。
 次の朝、同室の白石君と岩尾別の露天風呂を回る。途中で鹿の大群に会い、ビックリ。10頭以上いた。露天風呂までいくと雨が降ってくる。アベックが相合傘で入浴していたが、私を見ると「すぐ出ます」というが、狭い風呂でこちらが赤面してしまい、遠慮する。

   強風雨の中の知床峠越え
 さて、雨の知床峠越えがすごかった。標高が0メートル近くから700メートル近くまで上っていて上りが16キロも延々と続く。しかも風がすごい。この日は台風なみの強風でしかも風が回っている。風がやんだかと思えば、突然前や横から吹いてくる。前からの風は我慢できるが、横風にはまいった。飛ばされそうになったり、倒れそうになる。雨も強く降ったり弱く降ったり、雲が目の前を流れていくのが見える。あおられるのが怖いので所々自転車を押して歩く。ゆっくり行くと知床の自然はすばらしい。あちこちで水がたまって滝のように流れていてどっどっどと音が聞こえる。山肌の緑と黄色、流れている水の白い色のコントラストがすばらしい。観光バスや車に乗っていればわからない音や色だ。自転車だからこそ自然と一体になれる。また道のそばを鹿が跳んでいくのも見えた。雨にうたれ、強風に吹かれ、汗まみれでしんどかったがこの峠越えは一生忘れないだろう。
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