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特別企画連載
自然・人間ふれあいの旅  日本一周自転車ツアー完走記 (6)

武田万徳(久御山町在住) 
旅行中気になる天気・特に風向き
 北海道までお天気に恵まれたが、函館ユースを出たとたんに雨が降ってくる。旅行中、とりわけ自転車の旅ではお天気が一番気にかかり、宿に泊まれば夜・朝の天気予報は必ず見るし、野宿の時もラジオで必ず聞いていた。明日のお天気・降水確率・温度はもちろん、ツアーに出てから今までは気にもしていなかった風の予報を真剣に見聞きするようになった。風の向きで走るスピードが全然変わってくる。追い風ならペダルも軽く、平地でも時速30キロは出せる。しかし、強い向かい風だと最悪でローギヤで必死にこいでもなかなか進まない。時速10キロも出ないこともある。
 北海道はほぼ海沿いに沿って一周したが、ほとんどが強い逆風であった。北に向かえば北風、東に向かえば東風と風には悩まされた。後で反対から回れば追い風が多かったかなと思うがそうはうまくいかない。

大沼ユースに連泊。テレ朝の記者とドイツ人新婚さんと出会う

 
強い雨が2日続いたので大沼公園ユースで連泊する。1日目の同宿者は4人で、その中に村田さんという人がいた。彼はテレビ朝日に勤めていて、パキスタンの取材から帰ってきてつかの間の休暇を北海道で過ごしていた。しかし、アフガンで戦争が始まればすぐにむこうにいくんだと話していた。村田さんは、京都市北区に住んでいるが、北海道大好き人間で実に北海道のことをよく知っている。後で出てくる「とほ宿」のことも彼に聞いて知る。仕事柄取材したことや、体験したことなど生きた情報をたくさん聞く。函館であった吉田さんと村田さんの情報は大いに役に立つ。
 2日目はドイツのミュンヘンから来ているケン夫妻という新婚さんと一緒になる。ケン君は父がドイツ人、母が日本人で、日本語がとても上手で、わからない単語がでてくると「その言葉初めてです。もう一度言って下さい。」と電子辞書で言葉を確認する真面目でもの静かな青年だ。彼は、ミュンヘン生まれのくせにビールが飲めない。奥さんと新婚旅行を兼ねて1ヶ月の休暇をとって、3週間を日本で過ごし、北海道、東京、広島、京都と回る。あと一週間はドイツでゆっくりしたいと言っていた。長期の休暇はドイツではあたりまえで、みんな生活を楽しんでいる。景気もまだそんなに悪くはないようだ。
 
彼の話を聞いていてバングラデシュのシャヒダ―ル君を思い出す。彼は自転車で日本一周していたが、テント持参のオール野宿で1円の金でもケチって、暑い時でも公園の水を飲んで我慢する。食事も半額になったパンやおにぎりなどですまし、お金を使わないが旅を楽しんでいる。一方のドイツ人のケン君は移動は飛行機か新幹線、ホテルやユースに泊まりゆっくりと旅を楽しんでいる。2人とも好青年で私はすぐに友達になったが、同じ地球にいても生まれた所によりずいぶん格差があり、同じ旅でもそのやり方楽しみ方感じ方が違うことを知った。

無料のいくら丼につられニセコへ

 大沼ユースの掲示板にニセコユースのチラシが貼ってある。それによると通常の夕食の他にいくら丼が無料サービスでつくそうだ。(期間限定)食いしん坊の私はそれにつられ、次の宿はニセコ高原ユースに決め朝8時すぎに出発。ニセコまでは150キロあるが、大沼ユースの連泊で疲れもとれ、途中昼食休憩もしても平均時速20キロで5時か6時にニセコユースに着き、ゆっくりとおいしいいくら丼を食べる予定であった。ところが国道5号線を走り森町を過ぎ内浦湾の海沿いにでたとたんにすごい向かい風。長万部までずーと向かい風で午後1時につく予定が1時間遅れの2時過ぎ。吉田さんから聞いていたカニめしを食べた後5号線をニセコへ向かう。しかし、強い風にくわえ、今度は険しい山道に悩まされる。それもそのはず、ニセコはスキー場で有名な所。高原にあり、かなり上っていかねばならない。
 結局ニセコ駅についたのが午後7時半。ここからユースまでまだだいぶあるようなので、ユースに電話して「遅くなっても必ず食事します」と念をおす。そして険しい山道をちんたらとしばらく登っていくと「武田さん」と声が聞こえる。暗い中よく見ると、ペアレントさんがワゴン車で迎えに来てくれているではないか。スキンヘッドの少しこわおもてのおっちゃんだ。さっそく自転車をワゴン車にのせユースに向かう。
 ユースは何と廃校になった小学校で、広々とした運動場まである。遅くなったが食事はちゃんととってあり、通常の夕食といくら丼をおいしくいただく。そして9時からアコ―ディオンコンサートとあったので楽しみに部屋で待っていたが、さっぱり音が聞こてえてこない。談話室に見にいくと奥さんが「誰もこないので部屋へ帰ったみたいです」と部屋に呼びにいく。
 ペアレントさんがやる気になるよう他の部屋の人にも声をかける。といっても宿泊客は福知山から来ていたライダー夫婦だけ。 彼らを談話室へ誘い一緒に待っているとペアレントさんがアコをもって登場。タンゴを弾きだすとこれがとても上手。力いっぱい拍手すると気をよくして予定よりも多い7曲も演奏してくれた。顔に似合わず(ごめんなさい)繊細で優雅な響き。聞けば札幌でアコ―ディオンを教えていて、時々あちこちでコンサートをするそうだ。いくら丼につられてニセコユースにきたが、このアコ―ディオンコンサートだけでも値打ちがある。3人だけで聞くのはもったいないと思う。
 しかも彼らは立命館大学出身で2度びっくり。



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