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特別企画連載
自然・人間ふれあいの旅  日本一周自転車ツアー完走記 (4)

武田万徳(久御山町在住) 

 ラーメン屋の主人は元俳優
 
 シャヒダール君のおかげで、痛い左足をかばいながらもなんとか金沢までたどりつく。予約している金沢ユースは卯辰山の上。食事は頼んでないので、山のふもとの「若大将」というラーメン屋さんに入る。小さな店だが、壁にお客さんの写真などいっぱいはってあり、活気のある店だ。
 「いらっしゃい」と主人は元気よく迎えてくれる。注文したあと全国地図を見ていると「旅行されているんですか。どこから来られて、どちらへ行くんですか。」と聞くので、自転車で日本一周するんだと言うと、驚いて他のお客さんに紹介してくれて、チャーシューをサービスしてくれる。チャーシューはやわらかくて醤油味がきいていてとてもおいしい。ラーメンもこくがあっておいしい。
 少し暇になると主人は私の前に来て、「前に私は京都の太秦にいたんですよ。俳優めざして○○さんの付き人をやっていました(○○さんはさんは私は知らないが、有名な人らしい)。結局、俳優ではテレビに出ることもなく、金沢に帰ってきてラーメン屋をはじめ、おいしいお店ということでテレビにでました。」と笑って話してくれた。
 なるほど、おいしいはずだ。若き日の夢は破れたが、新しい道を見つけ努力しがんばる主人は、テレビのヒーローのように素敵に見えた。
 さて、食べ終わって店を出る時は、若い学生さんや女子高生が「日本一周がんばってください」と声をかけてくれ、気持ちよく山を上って行く。(足はあいかわらず痛いが)
   
   乳幼児医療が就学前まで無料に

 次の日、金沢の日本共産党県委員会事務所に行き、土倉県副委員長に介護や福祉の制度や現状について話を聞く。石川県では乳幼児医療費の無料制度が、就学前まで拡大することが実現し(入院)、七尾市では入院、通院とも10月から就学前まで無料に、七塚町では介護保険料の減免制度が実現したことなど、各地の運動について学ぶ。
 4年前の京都府知事選挙で、荒巻知事が「絵にかいた餅。できもしないことを言う」と言っていたことが、保守の県政や市政でも実現しているんだと、住民運動の力と政治の流れを感じる。
 寒くならないうちに北海道まで行くため、富山からは先を急ぐ。
   
   青森かっぱの湯で京田辺の青年と

   秋田の生活と健康を守る会事務所前で
23日 富山―上越 24日上越―新潟 25日 新潟―山形 26日 山形―酒田 27日 酒田―秋田 28日 秋田―黄金崎 29日 黄金崎―平内  30日は本州最北端の大間めざして走る。
 青森まで来るとさすがに寒く、半袖シャツの上からジャージを着て、半ズボンから長ズボンに変え、青森で買った軍手をはめて走る。
 下北半島を北上してむつ市を過ぎ、大間に行く途中に大畑町という所がある。そこから恐山の方に10キロほど入っていくと、「かっぱの湯」という無料の露天風呂がある。昔、慈覚大師がかっぱに導かれ、傷を癒したという伝説の湯である。奥薬研温泉という。
 駐車場に自転車を止め、川の方へ下りていくと、川のすぐそばに男女別の脱衣所があるが、露天風呂は混浴である。女の人もいたので少し恥ずかしかったが、隣の青年といっしょに裸になって湯につかる。ちょうどよい湯かげんで、冷えた身体をゆっくり暖める。
 たまたま横にきた青年に「どちらから来られましたか」と聞くと、「京都です」という返事。「えっ、私も京都だけど、京都のどちら?」。すると「京田辺です」。なんと久御山の隣の市ではないか。こんな本州最北端の温泉で隣町の人に会うとは。しかも立命館大学の後輩。彼は、自動車で、高速道路を使わず北海道をまわって、これから南下して京都に帰るそうだ。
 車に道具を積んで自炊しながら、ほとんど車中泊の一人旅。彼には北海道の情報をいろいろ教えてもらう。
 また夫婦で入浴していた地元の人とも楽しく話して、自転車で日本一周するんだと言うと、感心して激励された。
 本州最北の地の「かっぱの湯」は、紅葉がはじまる山に囲まれ、清流のせせらぎを聞きながら、暖かい人たちとの交流で、身も心もあたたまる。
 さて、大間まであと45キロ。フェリーの時間もせまっていて急いで走る。ほてった身体に、海からの風が心地よい。あれだけ痛かった左足も、秋田あたりからましになり、立ちこぎもできるようになる。
 大間が近づくと、津軽海峡の向こうの北海道が見えてくる。そして山の上にはうっすらと雪が積もっている。
 大間はNHKの朝ドラマ「私の青空」の舞台になった町。
 来たぞ!本州最北端の町、大間へ!


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