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特別企画連載
自然・人間ふれあいの旅  日本一周自転車ツアー完走記 (3)

武田万徳(久御山町在住) 

ツアーの行程を地図に

  岐阜金華山の上で旅の初日の出

 
 9月20日(木)朝6時に起床。金華山のユースから見る岐阜市内の見晴らしは最高。天気が良く、長良川がきらきらときれいに見える。旅の初日の出をここで拝む。今日は、関から山越えで福井市まで行く予定だ。
   
   
郡上一揆の地を行く
 
 国道156号線の長良川沿いを北上する。川はとてもきれいで豊かな水量がある。釣り人が川の中のあちこちにいて、釣り糸をたれている。鮎のとも釣りだろう。とてものどかな風景だ。
 ここは、郡上街道というが、江戸時代に重い年貢に耐えかねて、お百姓が一揆をおこした所だ。一揆の指導者たちがここを通って江戸に直訴しに行った。ご法度である。要求は通ったが、指導者たちは打ち首になって命をおとした。時代は違うが、今も庶民の生活は苦しい。失業率は過去最悪、中小企業の倒産も最悪、一揆がおこっても不思議ではない。今こそ国民みんなが立ち上がって、悪政を変える時ではないだろうか。そんなことを考えながらひたすら走る。
   
   
福井県境は険しい上りの連続
 
 白鳥まで来ると急な上りになっている。そして見上げると、道がらせん状にループしていて上っている。自転車ではとても行けそうもないくらいきびしい道だ。(後から自動車専用道だとわかり納得)他に道を捜すが福井に行くにはこの道しかないようだ。あきらめてローギアで力いっぱいこぎはじめる。汗がふきだすが、とまると後ろにとんでいくので、必死になってこぎ続ける。
 やっとらせん状は上りきったが、少しゆるやかになったものの、上り坂は続く。福井県境の越美トンネルまで急な上りは続き、左ひざが痛くなってきて途中休憩する。
 福井県に入ると今度は急な下り。下りきったらまた上りと、大変な道だ。あたりは暗くなり、左ひざの痛みがひどくなってきたので、福井はあきらめ、この辺で野宿することにする。
 
   
九頭竜湖の駅で野宿
 
 それにしても汗で汚れて気持ちが悪い。JAで聞くと近くに「平成の湯」という温泉があるらしい。暗い道を行って、しまいかけの温泉に入り、ゆっくり温まり汗を流す。温泉を出ると、安い発泡酒を飲もうとビールの自動販売機をさがす。販売機はあったが、なんと未青年の対策用に免許証を入れないとビールが買えないしくみになっていて驚いた。京都の自動販売機は誰でも酒が買える。こんな販売機は見たことがなかった。しかしその後も免許証の販売機はあちこちで見たので、京都は遅れているなと思う。
 何はともあれ、風呂上りのビールの味は発泡酒でも最高だ。気持ちよく九頭竜湖道の駅まで戻り、ベンチで寝袋に入っておやすみなさい。
 その日は寒く、朝5時に目がさめる。体のあちこちが痛い。近くにはコンビニもお店もないので、前日に買ったクラッカーとお茶で簡単な朝食をすませ出発。

   
県庁の共産党議員団室で懇談
 
 ここからは大体が下りだが、上りになると左ひざが痛む。それでも予定が遅れているので休まず、158号線を、大野を通り、福井市に入る。
 県庁では県議会の開会中。共産党議員団室を訪ね、事務局の本間さんに福井県の介護保険の現状について話を聞く。坂井郡介護保険広域連合で低所得者のホームヘルプサービスを無料にするとりくみが始まるなど、介護保険改善の運動が進んできている。
 もっと話したかったが、議会開会中でもあり、予定も遅れていたので1時間ほどで懇談をきりあげ、8号線を加賀へ向かう。

   
リタイヤの危機 思わぬ出会い
 
 
左ひざの痛みがだんだんひどくなってきて、右足だけでペダルをこぐ。上りがあると立ちこぎできないので、自転車をおりて押して歩く。ここまで順調にきたのに、先が思いやられる。このまま痛みが続き、自転車がこげなくなればいっそやめて帰ろうかと思い始める。第一の危機である。
 そんな時、シャヒダ―ル君と出会う。足の痛みがひどいので止まってストレッチをしてぼんやりしていると、後ろから声をかけられた。ふりむくと黒人の青年だ。彼もマウンテンバイクの前後に荷物を山盛り積んでいて、一目で長期旅行者だとわかる。彼はバングラディッシュ人だが日本語が通じる。聞けばなんと日本一周してきて、これから東京に帰るそうだ。
 腰をおろして日本一周の先輩にアドバイスしてもらう。彼曰く「低めのギアで力をいれずにこぐこと。1日の走行距離は100キロまでにすること。毎日走るのだから。」と親切にアドバイスしてくれる。そして「今日はどこに泊まるの?」と聞くので、「足が痛いので金沢のユースホステルに泊まる」と言うと「いくら?」と聞いてくる。「ユースは安いよ。2900円」彼の「高い!」にはビックリ。だって旅館に泊まれば1万円はするよ。日本人の感覚では5000円以下は安い宿だ。しかし彼は少ないお金でやりくりしているので、泊まりは無料が原則。テントか知り合った人に泊めてもらうらしい。食事は閉店間際のスーパーで、半値以下のおにぎりやパンを買いだめするそうだ。そうした話を聞き、元気になり立ち上がって出発する。しばらくは彼のゆっくりペースで伴走してくれる。
 彼にはいろんなことを教えてもらい、大いに励まされた。泊まりは別だったが、携帯電話で連絡をとりながら
上越市まで行く。彼は長野から東京へ帰るので、そこで別れる。左ひざの痛みは2、3日続くが、リタイヤの危機は彼のおかげで乗り切れた。ありがとう。




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