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熱い想いを語るトーク・トーク 12

「合併とまちづくり」について

吉岡和彦(自治体問題研究者) 


 
1、 精華町政の問題点
 一昨年急逝された大崎町長の口癖は、「主人公は住民」「住みよい、住んでよかった精華町」であったが、その遺志を継ぐといって、当時の助役が現町長となった。それから1年半経過しているが、引き継いだ内容がさっぱり見えてこないばかりか、住居は京田辺のままであるし、昨年の夏にどちらかと言えば合併に消極的な立場から急に推進派に変節し、精華町の名にさえ愛着を持っていないようだ。変節した理由を職員にすらも明らかにしていない。毎週金曜日に合併に関する情報と称して全職員のメールに送られてきているのは、国の推進情報ばかり。住民が検討するための資料作成の指示も下ろしていない。町議会や住民懇談会で「合併でしか生き残る道はない」と町長一人がいくら力説しても、一部の議員が乗ってくるだけでほとんどの職員は知らん顔をしている。しかしここに大きな二つの問題点がある。
@ このままで進まないのかといえば、ノーである。むしろスケジュールどおり着々と進めているのではないか
A 職員が知らん顔をしていることで、住民に必要な材料を提供しないばかりか自分たちも学習しないから、本当に切羽詰ったときに正しい判断ができない。このことが、職員リストラにつながる合併論の根拠となりかねない。

2、 合併議論で特に着目したいこと
  今の押し付け合併の前から、ごみ収集、学校等の給食、電話交換、用務員などのいわゆる現業職場に始まり、保育所、病院と民間委託や民営化が進んできた。本日の会場であるかしのき苑も2年前まで管理職以下4名の職員がいたが、今はたった一人しか置いていない。老人福祉の拠点として前町長の肝いりで建設したのにこうした状況である。住民の暮らしに直接関わる仕事をどんどん無くしてきた。このまま許せば、イギリスでサッチャーがしたように上水道も危ないし、自治体の仕事のほとんどが民間に移されてしまう。民間がやれば儲かる仕事だ。
 もう一つの着目点は効率の問題である。効率とは、「機械によってなされた、仕事の量と消費されたエネルギーとの比」であり、機械工学の言葉である。人の暮らしそのものに関わるあらゆる分野の公務労働を、機械工学上の効率で測り切れるのだろうか。人権思想を深めたり、老人や障害者福祉の効率とは何なのか。企業の物差しが入り込む隙間はない。
 こうした理由からも、国や企業から押し付けの合併は絶対反対であるが、賛成反対だけの議論ではいずれ押し切られてしまう心配がある。例えば、精華町では保育所と小学校給食で自校炊飯方式を実施しており、いくつかの優れた面があるが、合併となればセンター方式が採用されてしまうだろう。
 しかし、現在実施していない中学校に給食を始めることは比較的容易にできる。こんな材料を出して検討していく必要がある。もっともこの時、中学校給食の要求が高まれば合併しないでもいくらでも出来る事ではあるが。

3、 まちづくりとの関係
 先日の知事選やマスコミで、国会図書館の開館・私の仕事館・木津町のオムロンなどさも順調に学研開発が進んでいるように宣伝されているが、実際には一部企業の撤退・縮小や大企業取得地が開発計画を持っていないほか、精華町の研究施設予定地の50%もの土地が買い手付かずとなっている。そこで準工業地域に指定されているこの土地に、働く場所の確保・安定した税収・地域の早期熟成などを期待して、公害の無い企業の進出が可能になるように進めてきたが、頑張る中小企業の反応が大変よい。学研都市への進出が企業イメージを高めることになり、少々土地が高くても移りたいとのことだ。せっかく学研都市の精華町に来たのに合併で相楽全体が学研都市になってしまうと、高い土地を買った意味がなくなる。悪徳不動産屋に引っかかったようなものだ。
 最近町第4次総合計画が答申された。昨年の夏、町長が合併を言い出した直後に諮問されたにもかかわらず、向こう10年の方向に合併を打ち出していない。それどころか、一部事務組合などによる連携処理のありかたの検討も加えるとしている。なにも合併しなくともこれで解決できる課題が多いのである。しかし、町がいま作った総合計画としては少なくとも正直ではない。ただ、答申文書の中で1、計画の周知に努め、計画実現のために住民が主体的かつ積極的に参画できるようにされたい。2、計画内容の実施状況についてその確認が行えるような機会の検討という意見が付されているのは、審議委員の良識の反映であろう。

4、さいごに
 日本全国同じようなまちになってきているが、ヨーロッパの町々には伝統と特徴が残されている。住民自らが自分の町を大事にしている。合併に賛成・反対だけでなく、住みよい、住んで良かった、住み続けられるまちにするためには、住民自らが考え、参加していくことが不可欠である。そのためには、こうした運動をますます発展させていただきたい。
(5月18日開催された精華町第3回合併問題を考える会の報告をもとにしたものです)


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