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熱い想いを語るトーク・トーク 11

なぜ人間は愚をくりかえすのかー強制的市町村合併を憂える

辻井栄滋 


 はじめて「京都南部住民交流ネットワーク」に寄稿させていただくことになりました。専門はアメリカ文学で、とりわけジャック・ロンドン(1876−1916)という作家の研究ひと筋に30年ほど歩きつづけてきた者です。時々新聞で見かけてくださる方も多いかと存じます。
 今回書かせていただくのは、専門のことでも、また代表を務める井手町・地蔵院の枝垂れ桜保存会のことでもありません。それらについては、また機会をいただきたいと願っております。
 さて、今日の日本を見ておりますと、5年どころか3年、いや1年先のことすら危ぶまれるような状況が次から次へと現れています。とりわけ、きな臭い政治の有りように腹わたが煮えくり返る思いを抱いているのは、私1人だけではないでしょう。そうしたことにもみんながしっかりと目を見開いて、勉強をし、わが国を誤った方向に向かわせない力をつけないと、もう取り返しのつかないことになる危惧を抱くものです。
 ところで、そうした一連の動きとも連動するのですが、岩波ブックレットNo560「市町村合併と地域のゆくえ」をお読みになりましたでしょうか?このところ大合併合唱が誰の耳にも届いてきていてはいますが、これを深刻に受けとめ、取り組みを始めているのはまだ少数のようです。私もこのブックレットを読んで、ここまで「平成の大合併」に拍車がかかっているとは思いませんでした。「明治の大合併」「昭和の大合併」で苦い経験をしておきながら、今また3度目の愚をおかそうとしているわけです。しかも、合併の期限を切ってほとんど強引に進めようとする中央政府の権力的姿勢には開いた口がふさがりません。たとえば、合併しない自治体には交付金を減らすとか、出さない、といった地方自治を踏みにじる卑劣きわまりない「強権発動」が現実のものとなっている点が問題になっています。ブックレットには、合併に反対する勇気ある町村、合併してさまざまな問題をかかえている町村等の具体例がいくつも示されています。たとえば、福島県矢祭町(やまつりまち)議会は、「市町村合併をしない矢祭町宣言」の決議まで出して、「自立できる町づくり」を決めているのです。「寄らば大樹の陰」のごとき合併では、小さな町村は結局先細りするばかりです。各町村が一体となって、たとえ小さくとも独自の郷土色を打ち出し、それがみんなの誇れる町づくりの核となって、「自分たちの地域は自分たちで立ち直すという自前の発展努力」をしなければ、その将来の展望はひらけてこようはずがありません。
 ここ南山城でも、水面下でさまざまな駆け引きが行われていることでしょう。しかし、上に紹介した例のように、各市町村長が先頭に立ち、職員・住民が一体となって知恵を出しあい、国や府にはべることなく現在の市町村をいかによくしていくか、が今問われている問題ではないかと考えます。
 急を要する問題ですので、原稿依頼を受けて大急ぎで執筆しましたが、意のあるところをお汲みとりいただいて、みなさんが大きな関心をお寄せくださればと心から願っております。(5/12/02)
 

 


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