やましろロゴ

住民の立場から相楽の合併を考えるシンポジウム

 2月16日に「住民の立場から合併を考えるシンポジウム」が「相楽の合併を考える住民会議」の主催で、木津町の相楽会館で行われ、地方議員、自治体関係者も含め約120人の方が参加されました。当日の模様を要約して紹介します。
(敬称略 文責は南部ネット事務局)

パネラー       大西栄太郎【和束町在住、ふるさと相楽21代表】
             杉尾 吉弘【ふるさと今田を語る会(篠山市)】
             山村   隆【京都自治体問題研究所副理事長】
             宮嶋 良造【木津町議会議員、日本共産党】
コーディネーター   大谷 俊彦【京都南部住民交流ネットワーク事務局次長】

○開会あいさつ  開沼府職労相楽支部長  (略)

○大谷俊彦【京都南部住民交流ネットワーク事務局次長】
 本日の集会は相楽7町村の合併問題を住民の目線から、みんなで考えようという集会。パネラーから発言いただき、会場からの発言も時間の許す限りおこないたい。本日は賛成・反対を決めるようなことにせず、自由に討論したい。

○大西栄太郎【和束町在住、ふるさと相楽21代表】
 別名、「合併の榮太郎」と言われています。「ふるさと相楽21」とは、相楽郡の英知とエネルギーが詰まった人材の宝庫。
相楽の地域は岐路にあります。学研以外は、高齢化が進んでいる。ごみ処理やし尿処理など従来の単位では無理になっている。相楽郡の広域行政は行き詰まっている。小規模自治体では、ごみ問題は手におえない。し尿処理場、清掃工場、火葬場・廃棄物最終処分場なども広域で考える必要がある。
 あなたなら、どうする、相楽をどうみるか。
 文化センターなど各町に必要だろうか?。議員や職員も減らすことができる。財政基盤・効率化・専門性(社会福祉士や土木技師など専門性をもった人を雇うことができる)の3点から合併は必要だ。少子高齢化やIT 化など時代の背景もある。
 ふるさと相楽21で実施したアンケート結果では、相楽の有識者(回答数130名)で合併賛成73%、議員(回答数54名)で56%と合併賛成が多数になっている。各町村のエゴを捨てインフラ格差の是正にむけ合併をすすめよう。相楽の危機をのりこえるには合併しか生き抜く道はない。
 ただし、住民参加と住民投票は不可欠であり、あらゆる議会の議決だけでなく、住民投票できめるべきだ。合併にしぼった住民投票条例が必要。

○杉尾吉弘【ふるさと今田を語る会(篠山市)
 篠山市は平成11年に4町が合併、人口47000の町です。今田は、その一つで人口4100の小さな町です。私は、そこで体育振興会の会長や自治会の副会長、お宮の役など町作りの運動に積極的に関わっている一人です。今田は、陶芸で有名で10月には2日間で15万人が集まる「陶器まつり」を住民主導のイベントとして取り組んでいます。
 前提として、合併に賛成とか、反対とかは目的ではなく、地域全体をどのようによくしていくのかというスタンスが必要。
篠山の場合は、議会主導の合併で、合併をいつするか、本庁をどこにするか等首長同士で決めて、それから住民に説明をしました。私たちは、「できちゃった婚」と呼んでいます。今さら離婚はできないが。今田は、今田町と町の名前を残したが、他の集落は、篠山市・・と町がつかない。今田は、市の中心地を離れた辺地だが、町作りへの意欲がある。
 篠山市全体で言うと、3年たって行政コストをさげ、ういたお金を有効に使えるかどうかというプロセスにある。役人は字で書いたとおり、「役に立つ人」でないと意味がない。役場をいかに有効に経営できるかは、職員の能力によるところが大きい。ハコ物はコストがかかるだけ。地域住民のボランティアが多いほど、高サービス・低コストでいける。住民参加の町づくりが鍵。住民の間でよく議論しないといけない。

○山村隆【京都自治体問題研究所副理事長】
 丹後6町、宮津・与謝を回ってみて、京都府が合併の重点地域に指定したが、丹後地方が合併して1つになればよくなると確信をもってすすめているわけではないことが、よくわかった。北部の方は、5信金合併・農協合併と、合併が進めば進むほど、身近なところから手助けしてくれる組織がなくなり、自治体合併もほんとに住民のためになるのかと疑問をもっている。
 政府は、地方交付税を削減し、地方を見捨てる政策を進めている。
 福島県の矢祭町が「合併しない宣言」をしたが、ここは、「昭和の大合併」で血の雨が降った、という経験がある。地域の共同体としての共同意識がなければ不幸になる。判決でもあるように、地方自治体の定義の根本に「共同体意識」があるかどうかだ。
 適正規模にする必要がある、というが、地方自治法は、「廃置分合」と大きくすることも分割することも規程している。合併特例債で事業ができると言うが、結局借金ふえるだけ、交付税も減らされていく。当面、2年から5年後にむけて、借金返済のピークになるということでの「焦り」があるようだが、合併と言う未来を考える視点としてはあまりにも短いのではないか、また、小さい規模だと非効率と言う話もあるが、一部事務組合や広域連合などある。何より、地方自治は二層性で、町村ができないことは京都府が補完することになっている。
 NHKのデータバンクで、長生きできるところ、所得が上がっているところ、子どもが増えているところ、地域の町村が多い。東京は、最も「子どもが生れない」ところ、長寿は長野県の小さい町村が多い。
 昭和の大合併で、高知県の安芸市に合併した山間の村は、人口が急減し、子どももいない、合併しなかった馬路村は、村づくりをなんとかしようという役場があり、農協があって、特産のゆずを使って産業を興し、子どもも69人、小学校も維持している。合併は、過密と過疎を一層すすめる効果がある。「小さなものはつぶれていい」ということでいいのだろうか。

○宮嶋良造【木津町議会議員、日本共産党】
 11年6ヶ月前に、木津町に越してきた。「住めば都」で愛着と誇りをもっている。木津町の人口34500人の52%がニュータウンの人口になっている。
 町村合併は、「公共事業中心・社会保障切り捨て」の自治体の逆立ち政治をいっそうひどくするもので、財政危機のもとでも、自治体を開発会社のように土木事業を進められるようにするのが目的ではないか。
また、国は地方自治体への財政支出を切り捨てるために、今3200ある自治体を当面1000、さらには300程度にしようとしている。そして、都道府県をなくして道州制にしようと思っている。住民の利益、福祉の向上、地方自治の向上につながるものではない。自治との矛盾、必ず起こってくる。
 ご存知のように、相楽の合併は昨年後半より動きが急速になってきた。1月の首長と議会の議長の会議があり、2月下旬には、2回目の会議が開かれようとしている。7町村での話が進まないようなら、山城町は、単独で木津町に合併を申入れるという話もある。木津町は、老朽化した庁舎の建て替え、ゴミ処理場などの事業を控えているなど、地元の議論や理解はぜんぜん進んでいないが、思惑がからんでいる。
 憲法や地方自治法に照らせば、地方自治の本旨は、公共の福祉の増進であり、住んでいる住民が自らの町づくりを決める、住民が主役でなければならない。「住民サービスは高く、負担は低く」といって合併した、東京のあきるの市では、新しい町の財政がたいへんと約束は反故になった。
 住民投票は、「合併ありき」の投票でなく、賛否を決する住民投票を行うべきで、そのための「住民投票条例」が必要だ。

  休憩後、質問への答えとフロア―からの発言が行われた。まず、「今田町の住民の生活は、合併でどう変わったか」との質問に対して

○杉尾  1,2年目は、ほとんど何も変わらなかった。3年目にスクールバスが、無料から有料(500円)になった。それも、決まってからPTAに説明がなされた。役場は、60−70名の職員がいたのが、9名になった。支所機能を残すということだったが、住民課、住民票をとるということぐらいしか役に立たない。相談事は、市役所まで行かなければならない。

 次に、「小規模自治体の生き残る道は?」との質問に対して、

○山村  生き残る道は、合併しようがしまいが、大変な努力がいる。鍵は、地域が元気になっていく拠点を残していけるかどうかだ。自治体があれば、職員がいて、議会があり、意思決定をしていくことができる。
 左京区の花背では、京都市に合併して30年になるが、職員が今は二人しかいない。合併してよかったのかなとの声がある。長野県の木曽福島町では、生産から加工まで地域の経済が、地域でお金が回るようにしている。小さな規模でも予算がある。大きな事業をしても、地域にはお金が落ちない。工業団地も正社員は大阪などの都市からきて、地元からはパート、アルバイトで住民税を払う水準にない。地域に還元させることを考えないとダメ。
 国のやり方にもっと意見を言わないと、、「国が言うからしかたない」ではダメ。国や府にもっと意見を言うべき。

○大西  (篠山市のことがでたので事実だけ)ということで 篠山の実態で、基盤整備ということで、斎場24億円、清掃センター71億円の事業が着手。市議は57人から26人へ、1億円の経費削減になった。周辺部に市民センター、図書館、総合文化施設、温泉施設など、合併によっていろいろな施設がつくられている。

○杉尾  たしかに270億円かけて、合併バブルのようにいろいろ施設ができているが、収益が上がりそうなのは、温泉くらい。今後維持費がかかってくるし、30%は市の借金。借金のことを考えるとハコ物はいかがなものか。

続いて、会場からの発言がありました。

○UE(加茂町)  有意義な場をつくっていただいてありがたい。相楽は歴史的な場所で、恭仁京の巨大な史跡が残っている。史蹟は他にも多くある。これを活用、活性化につなげたい。合併したら、「相楽市」という案があるそうだが、それに対抗して「恭仁京市」という名を提案したい。京田辺、長岡京という例もある。

○UR(加茂町)  合併がいいか悪いかはまだよくわからない。過疎・過密という問題は、西のほうに人が増えるということは一層進んでいくのでは。価値観を再構築していかなければならない。周辺部に、焼却場や清掃センターがつくられるのではという心配がある。都市部と農村部が共存していける、価値観を共有していく必要がある。

○FR  国民年金の仕事をしている町職員。時として一人に2時間くらいかかるときもある。合併したら、詳しい相談に応じることが出来なくなるのでは、行政サービスが低下するのではと思う。

○宮嶋  「合併になる場合の法的手続きについて」質問があった。事前協議もしくは住民発議を受け、「法定協議会」の設置、(相楽は、現在事前協議の段階)法定協議会で、合併後の名前とか財政とかいろいろまとまったら、「合併協定書」に調印し、各市町村が合併の議決をして、知事への申請等に進む。法定協議会ができてから、市町村の議決まで2年かかると言われている。住民投票が必要とはなっていないので、各自治体で住民投票条例つくらないと住民投票とはならない。

○SA(精華町)  今の段階では、賛成と反対とかわからない。一生に一回の決断の機会。今回過ぎれば30年先。どちらにしても悔いを残さない結論であってほしい。勉強しているけど難しい問題。市町村の状況が違う、情報公開して、各町村、住民と行政が同じ土俵に立ってから結論出すべき。財政赤字をどうするのか?合併特例債で借金増やしてもどう返すのか、どれだけ自分達がかぶるのか、など具体的に討議すべきだ。そのようにすすんでないと思う。

○TA  一部事務組合が非効率との議論があるが、いくら合併しても一部事務組合や広域連合はなくならない。宇治から八幡、京田辺まで広域で城南衛生管理組合をつくってゴミ処理を行っているが、綴喜郡が合併してもなくならない。経済効率を追求する問題と基礎的自治体の大きさ、あり方を考える問題は別であり、両立できる。

○TO(加茂町)  いろんな意見を聞けて感激している。「結婚」は、「離婚」することができる。合併は、一度したら、「具合悪いからやめまひょか」とは簡単に出来ない。何より住民の合意が大切だと思う。住民の意見を代表するのは議員さんだが、多数が合併推進だと住民の意見が十分伝わらないまま、多数決で決定となることを憂慮する。また合併になれば以前の約束の責任は誰がもつのか。

○MT(加茂町)  せっかちであってはならない。疑問を一つ一つ解決していくべき。過疎が合併で解決するとは思えない。今250戸ほどの集落に住んでいるが、投票所は一つになり、子どもは減り、スクールバスが廃止され、加茂町の駅前にマンションが出来れば私の地区からも移転している。IT革命という話もあったが、どれだけのお年寄りがITを使えるのか、過疎地域を「姥捨て山」にしていいのか。

フロアーからの発言も受けて、もう一度パネラーからお話がありました。

○杉尾  いったん合併したらもどれない。あわてず、よく議論を。篠山では、だいだい、合併反対が30%、よくわからないが30%、どうでもいいが30%、残りの10%が賛成だった。合併すればうまくいく、という単純なものではない。結局は経営能力の問題。合併賛成の人が、「こんなはずではなかった」と思っている。

○大西 和束は、財政状況が府内ワースト2位、このままでは4年後には「赤字再建団体」になってしまう。和束には明日がない。私の夢は、21世紀の町づくり、木津が町の中心、山城は教育、加茂は文化芸術、笠置は歴史と温泉、南山城はリゾート、和束はお茶と農業、精華は一大商業、流通の拠点に、それぞれの個性と機能をもち、有機的に結びついた新しい南部の都をつくっていくこと。個性と機能をもち合併を。

○山村 今の例のように町づくりに夢を持つ人がおられるわけで、合併なしでも歩めると思う。合併しなくてもそれぞれの役場を中心にまちづくりができる。生きていく道をみんなで考えてほしい。全国の町村会が決議で、「市町村合併は地方自治の根幹に関わり、将来にわたる地域のあり方や住民生活に大きな影響を与える最重要事項」だとし、「いかなる形であれ合併を強制しないこと」「強制を意図した地方交付税算定の見直しは絶対に行わないこと」としている。もっと声をあげていこう。

○宮嶋  合併特例法でも、「広域化に対応し、自主的な合併に対応、、」と合併は自主的なものとの前提は当然無視できない。ところが、今の合併は、「アメとムチ」で強引に押付けてきている。情報公開、住民の間での議論や運動をほんとにすすめないと知らないまま合併がすすむということになりかねない。

○大谷  合併賛成、反対いろいろ議論があったが、パネラーの発言で共通していることは、住民が自らの住むまちづくりのために、合併問題を考えていくことが重要との点。住民運動もある。3月には議会が開催される。4月には京都府の知事を決める選挙もある。ひとつひとつの場で住民の意思を示すことが大切。本日のシンポがそのお役にたてば幸い。
 
○閉会のあいさつ  尾崎精華町職員組合委員長(略)





 ▼いま府南部ではTOPへ